SS3Aを振り返って ー ”聖地巡礼”に依らないコンテンツツーリズム ー

グリーンドーム前橋


 

こんばんわ、

 

インタビュー記事投稿から時間が経ってしまいましたが、関連テーマの書籍を数冊読みながら個人的に成功要因をずっと考えておりました。

 

今回は頭の中である程度まとまったものを文字におこしてみようと思います。

 

 

 

注目点は、タイトル通り聖地巡礼とは異なったコンテンツツーリズムである点です。

ずっと「コンテンツツーリズムといっていいのか...?」と悩んでいましたが、一周まわってよしと結論が出ました。

 

大きく要因分類すると3つ、

 

 ・IPホルダー⇔自治体との協同

 ・街に落ちるまとまった”外貨”

 ・ハコの地理的要因

 

です。

 

 

 

〇IPホルダー⇔自治体との協同

 

この点は此度の成功に外せません。

分かりやすく説明するために、逆にコンテンツツーリズムがうまくいかなくなる場合を提示します。

 

 〇 IPホルダーが作品利用(グッズ出店、イラスト掲載)に極端に厳しい

 または、権利元が分散して意思決定がバラバラ

 △ ホストとなる自治体の中にサブカルチャーに詳しい者がいない

 ◇ トンデモ僻地

 

などなどです。

 

SS3Aと比較します。

 

 

・〇について

 前橋駅内に設置されたちひろさん等身大ポップや街歩きマップのように素材提供が十分にあり、極端な制限がありません。

むしろふんだんに利用できた部類だとも言えます。

 また、街歩きマップに関していえばキャラ配置についてIPホルダー(バンダイナムコエンターテインメント)と自治体との作業が最後まで足並みがそろったことも注目点です。

 

 

・△について

 細かい人数までは伺えてはおりませんが、今回のインタビューにお答えいただきましたご担当者様主導による奮闘のおかげでうまくホスト側(前橋市)の受け入れ態勢が整いました。

 さけるべき事態は我々サブカル好きの「楽しい」がわからずホスト側が用意したものと需要が合致しない、といったものですが此度のSS3Aではかなりの合致度であると認識しています。(というより、これ以上はどうにもならない...?)

 また、前橋市長が「サブカルチャーによるまちづくり」と明言していたこともあり、トップダウンでの迅速な意思決定も重要な点です。これもレアケースではないでしょうか...。

 

・◇について

 こちらもクリアではないでしょうか。

都内からのアクセスを考えると新宿から湘南新宿ラインで→高崎、乗り換えて前橋ですので大きな問題はないかと思います。(都内からの想定だけですみません...)

 

 

 

〇街に落ちるまとまった”外貨”

 

  こちらの前橋市長のツイートを引用させていただきましたが、これはハコモノを抱えてる地域のみでできる利点です。

 もちろん、小規模コミュニティを継続的に呼ぶことありきではありますが、大規模な人間をまとまって街にあつめることができるのは大きな魅力です。

 極論ではありますが、地域住民のみで自地域経済をまわすのは無理がありますのでライブで浮かれてお財布のヒモがゆるゆるのゆるになっている大人数に街をまわってもらいお金をつかってもらうことは、言葉以上に大事な意味が含まれます。

 

また、これは後日改めて文字におこしたい重要な点ですが、地域振興を実現するためのおおきな糸口になると思われます。

 

 

 

〇ハコの地理的要因

  個人的に強く押したい点です。

こちらも先に例を挙げます。

 (どこに建設されるかをなんとなくご確認ください)

www.nhk.or.jp

 

 ご覧のとおり、こちらの施工中の新スタジアムは駅前に建設であり、いわばアクセスに特化した一極集中型です。

 対しグリーンドーム前橋は駅隣接ではなく街の中に移動する必要があります。

ここで「え、歩く必要あるから駅前のほうがいいじゃん」と思われる方もいらっしゃるとは思います。

 先述しますとここでは良しあしもなければジャパネットたかたの新スタジアムが地域振興を考えていないといいたいわけではありません。

(補足しますと、他のインタビュー記事を拝見しましたところ施工理由に大きく地域愛を明言しておりますし、街への導線も十分視野考慮されています)

 

ここで述べたいのは街を歩く必要性です。

 先日、神戸にミリオンのライブに参戦しまして改めて感じましたが、駅から会場が近いと当日の移動が会場付近で完結します。(ポートアイランドのお店にはいきました)

 もちろん、神戸でいえば三ノ宮でお買い物をなさった方もいらっしゃることは存じておりますが、駅から会場まで歩く過程で街の商店街などを通るほうが”外貨”が落ちやすくなると考えます。

 アイマスのライブで言えば開演時間は夕刻以降。加えて物販や名刺交換の文化がありますので早い時間からくることが想定になっている方も多いかと思われます。

 朝早く物販に並びたい、名刺交換をしたい、Twitterで交流のあるあの方にご挨拶したい、となった際、「電車にのって街にいくか」は難しいと思われます。

 また、前泊や後泊も想定されますが一体何割の方がそれが可能でしょうか。 

 

それゆえ、駅 ー 街(商店街)- 会場(スタジアム)の構造は来場者の当日に鑑みて大変重要な点であると思われます。

 

 

 

以上となります。

 

 "聖地巡礼"は筆者も幾度と経験しており(先日天海春香さんの最寄り駅聖地巡礼に伺いました)、言葉にしがたい感動を覚えますが、正直なところ”ヒット作”に依ったアニメ聖地巡礼には難しさを覚えてしまいます.....。

 それゆえ、今回のSS3Aのようにコンテンツとは本来結びつきのない場所であっても受け皿が用意できるツーリズムがいいのではないでしょうか。

 加えて、ここ数年で「ハコ不足」問題(こちらも重要ですので改めて...)を加味しますと、より重要性が増すかと思われます。

 

ありがとうございました。

 

 

(執筆 中村智寛)